2011年7月8日金曜日

中村勝雄{ダウン星の王子さま誕生}てつの記憶


ブルルッ♪ブルルッ♪ブルッ♪
ふるえる 携帯電話
電話の向うも震えてた
僕の頭脳は思考停止?
気持ちはひたすら君のもと

仕事が終わり、家路に向かう原チャリに乗る、僕のポケットが小刻みにふるえた。
ジーンズの、ポケットに詰め込んだ携帯電話が、早く電話を取れと催促のバイブレーション。
バイクを路肩に寄せ、電話を耳にあてる。
かっちゃん(中村勝雄)の声が震えてた、震えていたように思えた。
僕の思考回路は「直ぐに家に来て欲しいと」理解するのが精一杯で、気持ちだけが、かっちゃんの家に向かってた。

さまにならない仕草
この姿
これ一度
あの煙草
落ち着く役にたてたかな

かっちゃんと向かう、車の中
不安と、焦りに押し潰されそうな空気…

カタッ ガタッ カタッと転がるタイヤ
カッ カッ  カツンと響く靴音
ダウン星の王子
冷たく 固い 大きな口に
飲み込まれた


からっぽの部屋
販売機から
転げる音
長い廊下に
響き渡る

医者の説明を受け
帝王切開の承諾書にサインを済ませ
口数の少なくなったかっちゃんと、静かで薄暗い待合室
販売機で、買った飲み物は、何だったのだろう?俺が飲んだのかな?かっちゃんに飲ませてあげたのかな?…

話した内容
記憶に無く
青ざめた顔
瞳に宿る強い光
僕は祈り続ける

ダウン星の王子さま
舞い降りました
人々に
ニコニコ
笑ってあげるため